初めての海外旅行はどの国から?|40か国を案内した添乗員が難易度順に
「初めての海外、どこがおすすめですか」。これがいちばん多く聞かれる質問です。
ただ、国名で答えるのはあまり意味がありません。同じ国でも、行く人と日数によって難易度がまるで変わるからです。3日で行くパリと、9日で行くパリは、別の旅です。
添乗員として10年、40か国を案内してきました。「どこがいいか」ではなく「どこから始めるか」という順番で考えると、答えは自分で出せます。その考え方を書きます。
決めるべきは、国ではなく難易度
初めての海外の負荷は、この5つでほぼ決まります。
- 飛行時間|4時間以内か、10時間を超えるか。時差はそのまま体力に効きます
- 言葉|英語が通じるか、表示に漢字があるか
- 空港から街まで|電車1本で行けるか、乗り換えや値段の交渉が要るか
- 食事|何も考えずに食べられるか、毎食調べる必要があるか
- 気の張り具合|歩きながら気を抜けるか、常に持ち物を意識するか
初めての海外で疲れる人は、体力ではなく「気を張り続けたこと」で疲れています。この5つが軽いほど、旅そのものを楽しむ余力が残ります。
いちばんやさしいのは、近くて短い国
台湾・韓国
飛行時間は2〜4時間、時差はほぼありません。表示に漢字があり、食事で困らず、空港から街への足も分かりやすい。「海外はこういうものか」を最小の負荷で体験できます。
3泊4日でも旅として成立します。ここは大きい。長い休みが取れないと海外に行けない、という思い込みが外れます。
シンガポール
英語が通じて、街が清潔で、地下鉄で大抵の場所に行けます。「英語圏に行った」という自信がつくわりに、難易度が低い。飛行時間は7時間ほど。
ハワイ・グアム
日本語が通じる場面が多く、日本人向けの仕組みが整っています。初めての人にとって、これは大きな安心です。ただしハワイは飛行時間7〜8時間、物価は高め。
次の一歩に向くところ
- タイ・ベトナム|物価が安く、食事が面白い。ただし道路の渡り方と交通手段の交渉に、少し気を使います
- オーストラリア|英語圏で時差がほとんどないのが効きます。夜行便で寝て着ける
- スペイン・イタリア|街を歩いているだけで楽しい国です。飛行時間は長く、スリには気を配る必要があります
慣れてからのほうが、ずっと楽しめる場所
「行くな」という意味ではありません。1回目に行くと消耗し、3回目に行くと感動するタイプの旅がある、ということです。
- 複数の国をまたぐ周遊型|移動と荷造りの回数が、そのまま疲労になります
- 言葉の壁が厚く、文字も読めない場所|看板が一切読めないのは、想像よりこたえます
- 常に持ち物を意識する必要がある街|気の張り具合が、丸一日続きます
こういう場所ほど、行った後の満足度は高いです。ただ「海外って疲れるな」で終わってしまうと、2回目がなくなります。それがいちばんもったいない。
いちばん多い失敗は、いきなりヨーロッパ周遊
「せっかく行くなら3か国」。気持ちはよく分かります。
ただ、7日間で3か国を回ると、移動日が2〜3日、荷造りが3回、ホテルのチェックインが3回。実際に街にいられる時間は、思っているより短くなります。
1都市に3泊した旅のほうが、記憶に残ります。朝の同じカフェに2回行けるかどうか。その差です。
日数から決める、という手もあります
| 取れる日数 | 向いている行き先 |
|---|---|
| 3〜4日 | 台湾・韓国。1都市だけ |
| 5〜6日 | 東南アジア、グアム、シンガポール |
| 7〜9日 | ヨーロッパ。ただし1〜2都市まで |
| 10日以上 | 選択肢が一気に広がります。周遊もここから |
行き先が決まらないときは、日数のほうが先に決まっていることが多いです。そこから逆算すると、候補は自然に絞られます。
それでも決まらないなら
決められないのは、優柔不断だからではありません。条件を並べる作業を、まだしていないだけです。
季節、日数、体力、予算、誰と行くか、何をいちばんやりたいか。この6つを口に出して並べると、たいてい候補は1つか2つに絞られます。ひとりでやると堂々巡りになりますが、人に話すと10分で終わります。
海外旅行のはなし(60分・オンライン)で、その整理をしています。ガイドの同行を申し込む必要はありません。行ったことのない国については、正直にそう申し上げます。
持ち物のほうが気になっている方は、添乗員が実際に持っていく荷物リストも書きました。
添乗員として40か国を回りました。「この国は自分に合うのか」「何日あればどう回れるか」。
ガイドブックに載っているのは"そこに何があるか"ですが、お話しできるのは"そこがどうだったか"です。
関東・関西でのご案内と、オンラインでの旅の相談を承っています。行ったことのない国については、正直にそう申し上げます。
